The Book -jojo's bizarre adventure 4th another day-

普段は文庫本しか読まない僕がハードカバーの本を久しぶりに読んだ。

[rakuten:book:12477808:image]
2000年、舞台は日本国M県杜王町(もりおうちょう)。冬休みの終わる三日前。
ぶどうヶ丘学園高等部1年の広瀬康一と漫画家・岸辺露伴はコンビニの前で血まみれの猫と遭遇する。猫の飼い主を捜してたどり着いた先には家の中で車に轢かれた女性の奇妙な死体。スタンド、【ヘブンズ・ドアー】によって探り出した手がかりは「腕に赤い爪痕のある男子学生」。三ヶ月にわたる事件はこうして幕をあける。そして、恋人の手によってビルとビルの隙間に突き落とされ、そこで生活することになった飛来明里。不思議な革表紙の本を持つ蓮見琢馬と彼に惹かれる双葉千帆。彼と彼女たちのストーリーは既に始まっていた。

乙一さんが書いた」+「JoJo」= 面白くないわけがない。この数式が間違い無く成立するはずだと思いながら読んだ。そして、確かに面白かった。

でも、僕がこんな評価をするのは失礼だがJoJoに対する思い入れが強すぎる。。。

乙一さんの文章って言うのは良くも悪くも淡々としているところがよい。どの描写にも感情がこもっていないくせに臨場感があるのがすばらしいのだ。そして、これでもかって言うぐらいの作りこみ度が高い。僕が今まで読んだ乙一さんの作品はここでこれが生きてくるのかと思いたくなる作りこまれていた。

がしかし、この作品は思い入れが強すぎる。

淡々と書いているようだが、やっぱり思い入れがあるのでどのキャラも立ちすぎていて独特の淡々観が無い。そして色々含めたいからだろうが、ストーリーが薄くなっている。多分乙一さんは普通に書いたらこんな量では終わらなかっただろう。少なくとも上中下巻に分かれていたはずだ。色々割愛したせいだろうが複線が複線として説明できずに終わっている感がある。っというか、JoJoを読んだことがある人しか読まないという括りで書いたらもっと面白い作品ができていたんだろうなぁ。ただ、それでも僕は乙一さんの作品が好きだし、この本はオススメしたい。

あとがきに記載してあるのだが、乙一さんはこの作品を作成するために5年を費やしたらしい。そしてこの作品を作成していたために、今まで新しい本が書けないでいたようだ。乙一さんはどうしてもこのJoJoの本が書きたかったらしい。このためにこの業界に入ったといっても過言ではないぐらいこの本を書きたかったらしい。

書いてはボツ、書いてはボツってのを繰り返した5年間だったんだろうなぁ。そりゃあ、思い入れも伝わってくるさなぁ。

あと、この本には登場人物の中で小説家を目指している人がいる。高校生で作家を目指して小説を書いているのだが、その人に対して主人公*1が小説家という職業について以下のように記述している*2

高校生という貴重な時間に小説を書くだなんて信じられない。そんな無駄なことに時間を使うべきではない。

これは乙一さんの意見なんだろうか?
それとも、5年間頑張りすぎてこのような言葉が出てきたのか?
もしくは、ただこの主人公ならこういうだろうと書いたのか?

少なくとも僕は乙一さんの作品でものすごく楽しませてもらっている。中学生までは本をよく読んでいたのだが、高校に入って全く読まなくなった。社会人にってから、ふと「GOTH」という本を手に取り、それが非常に面白かったので、今も読書しているんだろうなぁと思う。生みの苦しみはあるかもしれないが、乙一さんの作品がまだまだ読みたいものだ。

*1:なのか?

*2:手元に本が無いためうろ覚えだが、ニュアンスはこんな感じのはず・・・