この不況は多重下請けを脱出するチャンスかもね

いまSIerがやばいからどうだこうだって話が盛り上がってるから思ったことを書いてみようと思う。

仕事がなくなっているという現実

上記エントリーとかも書いてるんだけど、今のIT業界は僕が仕事を始めてからいままでで一番仕事が無い。去年の前半とかIT業界って売り手市場でどこでも人手が足りなくて、人を入れれば仕事があるから人を集めれば集めるほどお金が儲かるって言う状況だったんだ。だけど、世間の不況にあおられて余分なお金を減らそうっていう流れのせいで、今は本当に仕事が無い。仕事が出来ない人だけが仕事にあぶれるってわけじゃなくて、いままでなら引っ張りだこだった優秀な人でも仕事が決まらないって言うぐらい今は仕事が無いんだ。

仕事が無い下請け会社の現状

ちょっと前までは1人に2〜3の案件があったのに、今は逆に1つの案件を2〜3人が奪い合っているという状況だと思う。実際に仕事が減ってるんだから人があまるって言うのは当然なんだけど、景気が良かったうちに人をわんさか人を集めてしまった会社は、いきなり仕事がなくなってしまったもんだから考えられないぐらい会社に人があまってるってしまってると思うんだ。

じゃあそのあまっている社員をどうするかって言うと、どうせ余ってる人間がいるんだったら安い金でも良いから雇ってもらって、少しでも被害を減らそうって考えが生まれて、いままででは考えられないような安さで仕事を請け負ってくる。そうなると会社に入ってくるお金は当然減るわけだから、会社がつぶれないようにするために社員に払う給料を減らす。給料が減った社員はモチベーションが下がる。モチベーションが下がった社員は仕事を変わろうとするけど、どこもおんなじ状況だから仕事も変えることが出来ない。社員はしょうがなく会社に残って、景気良くならないかなーってぐだぐだする。っていう悪循環がこれから数年は下請け会社でおこるんじゃないのかなって僕は思う。

下請け会社の最悪の未来

この不況で一番被害を受けるのは当然下請けの会社だと思う。上の会社に入ってくるお金が減るんだから上の会社はどうにかやって自分の会社の利益を増やそうと考えるから当然下請けに払うお金を減らす。下請けの会社が入ってくる金が減るとさらに下請けの会社のお金を減らす。さらに(ry。っていうのが今起こってると思う。

この連鎖が続くとどうなるかというと、下からどんどん会社がつぶれていくと思う。じゃあ、いつまでも会社がつぶれ続けるかというとそうではなくて、耐え切れなくなった会社が数年かけてどんどんつぶれていくことで仕事と会社のバランスがとれて、その結果安い賃金で耐え残った下請け会社が生き残ると思う。生き残った会社はいままでどおり多重下請けの形で仕事をし続けていくんじゃないのかなっていうのが僕の予想。

これが本当になってしまうともらえるお金だけ下がって仕組みは変わらないっていう最悪の結果で、このままなぁなぁでやり続けてたらこの最悪の結果が一番リアリティが高い未来なんじゃないかな僕は考えているんだよね。

なぜ多重下請けが発生したのか?

じゃあ、この下請けの負の連鎖が出来上がってしまった一番の原因は何かというと、id:AntiSepticさんが言われていることは的をいてると思うんだ。

何故SI業界から「多重下請け構造」がなくならないかといえば、自分たちで営業をしないからである。勤め先でそこそこ腕に自信のつけた技術者が独立して小規模な会社を作り、人脈を頼って仕事を取るから数ばっか増えて「多重下請け構造」が出来上がるだけの話である。機械をいじくることだけが得意で人間の相手が出来ないから、最終ユーザーから直接仕事を取ってくる苦労をネグっているのであり、同業者から貰った仕事をこなすだけだから独自の製品を作って世に問うことも出来ないのである。

何故「多重下請け構造」がなくならないかというと、お前らが営業をサボってるからだよ!! - 消毒しましょ!

IT業界って基本的に会社を立ち上げるのは非常に簡単だと思う。仕事をもらえるコネとパソコンさえあれば他には何も要らないんだよね。起業してしまえばいままで会社にとられていた金がなくなるわけだからすぐさまもらえるお金が増えるし、もしうまくいかなかったとしても会社をたたんでまたどこかの社員として働けばいいだけだからリスクも少ない。だから会社が乱立してしまっていまの多重下請けの構造が出来上がってしまったとおもうんだ。

どうやったら多重下請けは無くなる?

僕は今のこの不況はある意味では下請け企業にとってチャンスでもあると思ってるんだ。今まではなんだかんだで企業にお金があったからお客さんは今までのお付き合いを尊重して下請け企業がいかに安く仕事をやりますって言ったとしても大企業に高いお金で仕事を発注してたっていう状況があったと思うんだ。けど、不況のせいで仕事を発注していた会社もどうにか安く発注したいっていう考えがいままで以上に強くなるだろうから、企業間のつながりが尊重せずに下請け会社に仕事を発注してくれる可能性が出てくると思うんだよね。ある程度の数の中小企業が手を結んで、上下の付き合いじゃなくて横の付き合いで大企業に対抗して仕事を取るってことができれば十分に大企業に対抗できるチャンスはあると思うんだ。

ただこのチャンスには一つ問題があって、大企業に発注しているお客さんから仕事をもらうためには、下請け会社は大企業が仕事を請け負っているお客さんに対して自分をアピールするって言うことが必要になるんだ。それは大企業の仕事を奪うことと直結しているから大企業に牙をむくようなものなんだよね。いままで仕事をもらっていた会社に牙をむくってことは失敗したらその会社から仕事が一切入ってこなくなって目も当てられない事態になってしまうことも考えられるけど、このままジリ貧で仕事をしていくぐらいなら一発かけてみようっていう考えでやるのはありなんじゃないかな。この考えで責めてくれる会社が増えてくれれば、いままで大企業にいかに無駄な金を払って仕事を発注していたかということをお客さんが知ってくれて、大企業を飛ばして下請け会社に直接仕事を発注してくれるという未来も見えてくるかもしれない。そうすれば、大企業が下請け会社を食い物にするっていう今の状況が好転する可能性も出てくると思うんだ。

これが僕が考える一番いい未来なんだけど、賭けに出てくれる会社って少ないんだろうけどね・・・。